- 在宅翻訳者になりたいけど、なるべくお金はかけたくない。
- 翻訳者になるには必ずスクールに通わないとダメ?
- 独学で翻訳を勉強してるけど、独学でも翻訳者になれるの?
こう思っている方、多いのではないでしょうか?
実際、初心者の方からこういう質問を受ける機会はかなり多いです
誰でも、なるべく費用をかけずにプロになりたいですよね。
でも、その節約が大きな回り道への第一歩だとしたら・・・?
この記事では、「初心者でも独学で実務翻訳者になれるか」の疑問にプロ翻訳者が本気で答えていきます。
独学かスクールか迷っている方、必見ですよ!
初心者でも独学で実務翻訳者になれる?
結論から言うと、イエスです。
独学で実務翻訳者になった方はたくさんいますし、なれるかなれないかで言うと、もちろんなれます。
ただし、「全員が」独学から実務翻訳者になれるかというと、決してそんなことはありません
実は実務翻訳者の場合、未経験から独学で翻訳者になりやすい人とそうでない人の2種類がいます。
では、未経験から独学で翻訳者になりやすいのはどんな人なんでしょうか?
次の項目で詳しく説明していきたいと思います。
未経験から独学で翻訳者になりやすい人
専門知識がある人
まずは、専門知識がある人です。
翻訳というとまず英語力を思い浮かべる人が多いと思いますが、英語力と同じかそれ以上に大事なのが、この「専門知識の有無」です。
翻訳業界では、実は専門知識がある人はめちゃくちゃ強いです!
というのも、実務翻訳で扱うのはかなり専門性の高い文書だからなんですね。
専門性の高い文書をきちんと理解し、同じく専門性の高い読者が読んでも違和感のないように訳すとなると、英語力だけではとても歯が立ちません。
原文を正しく理解する力はもちろん必要ですが、それに加えて「訳す先の言語では一般的にどんな表現が使われているか」についての知識も不可欠です。
ここで簡単な例を出しましょう。
例文:All of these subjects were included in the safety analysis set.
この例文には難しい単語は1つも使われていません。
どれも中学校で習うような単語ばかりですね。
でも、subjectやanalysis setに対する正しい訳が分かる人はどれくらいいるでしょうか?
「主題」や「解析セット」ではありませんよ!
専門知識があれば一発で分かるようなこのような単語も、専門知識のない初心者は、時間をかけて調べる必要があります。
もしかしたら、専門用語であることにすら気づかず納品してしまうこともあるかもしれません。
このような専門知識は、英語力以上に身につけるのに時間がかかります。
英語は誰でも学べますが、例えば実験装置の操作方法やその結果の見方などは、ネットや書籍でも情報が少なく、その分野での経験がないとなかなか分かりません。
また、専門知識のある翻訳者は、そうでない翻訳者よりも初歩的なミスをしにくく、最先端の技術や話題への対応能力が高いため、翻訳会社からのニーズも高いです。
つまり、専門能力が高いと、それだけでかなり売りになるんだね!
- 医薬分野: 薬剤師やMRの経験
- 特許関係: メーカーなどでの技術職の経験
- IT: プログラム開発経験
などがあると大変有利です。
このように、何らかの分野での専門知識+ある程度の英語力があれば、未経験で応募しても翻訳会社の目にとまりやすいため、独学でも翻訳者になれる可能性は比較的高いと言えるでしょう。
自分でコツコツ独学を続けられる人
未経験から独学で翻訳者になるには、自分で地道に勉強する力が必要です。
スクールに通っていれば、スクールがペースメーカーとしての役割を果たしてくれますよね。
カリキュラム通りに勉強を進めれば翻訳に必要な力がつくよう設計されているので、受講者はカリキュラムに沿って予習復習をすればOKです。
自分で教材を選んだり、勉強方法を考える必要もありません
しかし、独学の場合は、こういったサービスが受けられません。
自分で計画から実行まで管理する必要がありますし、先生も他の受講生もいないので強制力も働きません。
なので、1人でもコツコツ続けられる人でないと、独学で翻訳者になるのは難しいでしょう。
これまで三日坊主ばかりという人は、迷わずスクールを選ぶことをオススメします。
メンタルが強い人
スクールに通わず独学で翻訳者になる場合、自分で求人を探すことになります。
- 一部のスクールには、卒業後にトライアルを受験できる「トライアル特典」があります。
アメリアなどには「未経験可」の求人も出ていますが、「未経験可」求人でもスクールなどへの通学が推奨されている場合が多いことをご存じですか?
例として、未経験者応募可のアメリアの案件を2つご紹介します。
どちらの案件も、応募には
- スクール通学経験が必要 または
- スクールでの学習経験がある人が優遇
されていますよね。
このため、実務経験がなく、スクール通学経験もないとなると、トライアルの合格にかなり苦戦することが予想されます。
アメリアに限らず、トライアルというのは、実務経験が5年以上あるプロでも落ちる場合があるほど厳しいものです。
ですので、実務経験もスクール通学経験もないとなると、トライアルを受験しても最初はほぼ落ちることを覚悟しておいた方がよいでしょう。
独学で実務翻訳者になるなら、それでもヘコまず応募を続けられるという強いメンタルが必要です。
独学で実務翻訳者を目指すメリット
では、独学で実務翻訳者を目指すとどんなメリット・デメリットがあるのでしょうか?
ここではまず、独学で翻訳者を目指すメリット2つを紹介します!
費用がかからない
独学で実務翻訳者を目指す最大のメリットは、スクール代がかからないことです。
スクールには通常8万円~15万円程度かかることが多いので、予算があまりない方には独学は魅力的でしょう。
ただし、独学する場合にも、勉強用の本や教材が必要になるので、全くお金がかからないわけではありません
この点には注意しておきましょう!
自分のペースで勉強できる
スクールは、ある程度ペースメーカーの役割を果たしてくれますが、忙しい方にはかえってプレッシャーになったりしますよね。
独学なら完全に自分のペースで勉強できるので、毎週決まった学習時間を確保できないという方にはぴったりです。
ただし、毎週決まった学習時間を確保できない場合、「翻訳の勉強を続ける」という強い意志がないと挫折しがちです。
いつの間にか勉強やめちゃってた・・・
とならないためには、目標設定とPDCAをきっちり行う必要があります。
独学で実務翻訳者を目指すデメリット
次に、独学で翻訳者を目指す場合のデメリットです。
ここでは4つ紹介します。
訳文を見てもらう機会がない
翻訳を勉強するのであれば、誰かに「自分の訳を見てもらう」ことは非常に大切です。
なぜなら、他人に見てもらうことで、自分では気がつかなかった自分の訳の問題点を知ることができるからです。
プロであれ学習中であれ、人は誰でも自分の翻訳が正しいと思っています。
だからこそ、自分の訳の問題点に気づくのは、プロでもなかなか難しいことです
スクールに通っていれば、先生が訳文を添削をしてくれます。
でも、独学だと人に訳文を読んでもらう機会がありません。
「人に訳を見てもらえない=自分の訳の改善点が分からない」ので、上達に時間がかかります。
これは独学者の大きなデメリットであると言えます。
分からないことがあっても誰にも聞けない
独学の場合、身近に翻訳が分かる人がいないため、自分が書いた訳文を読んで評価してもらうことができません。
ここでちょっと思い出してください。
例えば高校受験や大学受験の時、英作文や和訳をするという問題がありましたよね。
一旦自分で解いてみたけど、解答を見るとちょっと違う・・・
そんなとき、
「解答の訳が正しいのは分かるけど、じゃぁ自分の訳はダメなの?」
って思いませんでしたか?
同じことが翻訳学習でも起こります。
あなたが勉強に使っている教材には、一応模範訳が載っています。
でもそれとあなたの訳が違ったとき、「なぜ模範訳ではこの訳語が使われているのか」「自分の訳語ではダメなのか」を理解するのはなかなか大変です。
もちろんGoogle検索や辞書などである程度は分かります。
でも、調べても分からない場合はどうすればいいのでしょう?
スクールに通っていれば、先生に質問することができます。
でも、独学だと誰にも聞くことができず、疑問は永遠に解決しないままです。
これが独学の2つ目のデメリットです。
初仕事へのハードルが高い
これについてはこちらでも少し書きましたね。
スクールの中には、卒業時に提携会社のトライアルを受験できるところがあります。
トライアル受験ができない場合はアメリアなどで「未経験者可」の案件に応募することになりますが、このときもスクールに通学していないと応募できないことがあります。
独学の場合は、未経験者可の中でも応募できる案件が限られ、実務翻訳者への入口がかなり狭まります。
少しでもたくさんチャンスがほしい場合は、独学は避けた方が賢明です。
途中で挫折しやすい
これは実務翻訳に限らず、なんでも同じですね。
何事も1人で進める学習は挫折しやすいものです。
学習でなくても、ダイエットであれ運動であれ、続ける秘訣は一緒に頑張る仲間を作ることです
スクールなら、受講生仲間と切磋琢磨することができます。
課題の締切があるので、小さいステップを目標に頑張ることができます。
でも、独学ではそうはいきませんね。
これまで「続けること」が難しかった人や、何事も続いた試しがないという人。
こんな人は、迷わずスクールに通いましょう。
どうしても独学で実務翻訳者になりたい人の4ステップ
ここまで読んで、いかがでしたか?
わたし個人としては、よほどの専門性がない限りはスクールへの通学をオススメしています。
その方が独学よりも挫折しにくく、絶対に近道だからです!
それに、英会話スクールやプログラミングスクールのように2~3ヵ月で何十万もかかるならともかく、翻訳スクールは数ヶ月通っても10万円前後ですみます。
今ならオンラインで全国どこからでも受講できるので、はっきり言って受講しない理由はありません!
でも、それでもどうしても独学で勉強したい!という方は一定数いらっしゃると思います。
ここではそういう方のために、ざっくりどういうステップで学習を進めればいいかを解説していきます!
まずはTOEICの点をあげる!
未経験でスクールにも通わず翻訳案件に応募するのであれば、高い語学力を証明する必要があります。
語学力すらないと、高い専門性がない限り、書類審査の段階で落ちてしまいます
また、派遣や正社員案件の場合、TOEICの点数が応募資格になっていることがあります。
ですので、まずはTOEICの点数を上げておく必要があります。
TOEICの点数は、900点以上が目安です。
なぜ英検ではなくTOEICなのかというと、最近は応募資格の目安に英検ではなくTOEICが使われることが多いからです。
特に派遣や正社員案件ではこの傾向が強いです!
また、「TOEIC高得点=翻訳ができる」ではありません。
ここでTOEICの話を持ち出しているのは、未経験・独学で翻訳案件に応募するのなら最低限これくらいの語学力が必要という目安を示すためです。
TOEICの点数はあくまでスタートラインであり、この点数が取れたからすぐに翻訳案件に応募できるわけではないことに注意してください。
TOEIC3ヵ月以内に200点以上UP!スタディサプリENGLISH
翻訳技術を学ぶ
TOEICをクリアしたら、次に翻訳技術を学びます。
翻訳は、私たちが学校で習ってきたいわゆる「英訳」「和訳」とはかなり勝手が違います
翻訳の専門書を数冊買って、まずは基本的なスキルを身につけてください。
オススメの勉強法は、まずはざっくりと翻訳の考え方を学び、次にもう少し深く翻訳の技術を学ぶ方法です。
ざっくりと翻訳を学ぶのにオススメの本
もう少し深く翻訳の技術を学ぶのにオススメの本
このほか、翻訳業界の全体像やトレンドを知るには、次の雑誌がオススメです。
専門知識を身につける
翻訳技術の勉強と同時に、専門分野を決めて専門知識を身につけます。
専門知識は、選んだ専門分野の専門誌や関連書籍を読んで身につけます。
分野によっては専門の翻訳誌が出ているので参考にするといいよ!
実際に訳してみる
翻訳の基礎的なスキルと専門知識が身についたら、あとは実際に訳すのみです。
初心者のうちは、訳例がついているものを教材に使うといいでしょう。
訳例がついている教材には次のようなものがあります。
・TQEの過去問(こちらから入手可能)
・ほんやく検定の過去問題集(こちらから入手可能)
・アメリアの定例トライアル
・各種翻訳雑誌の誌上翻訳レッスン
・各専門分野の専門書籍
スキルアップ&翻訳求人探しに超役立つ!アメリアについてはこちら
そのほか、特許や医薬などでは、対訳が入手できるウェブサイトがあります。
例えば、NEJMはアブストラクトが日英両方で公開されているので非常に勉強になります。
このように日・英両方の文章が利用できるサイトは学習にオススメです。
ある程度慣れてきたら、腕試しにTQEやほんやく検定を受けてみるのもいいと思います。
点数や合否判定が出るので、自分の客観的な実力がわかります。
とにかく応募しまくる
ここまで一通りこなしたら、とにかく応募できる案件に応募しまくりましょう!
応募先を探す時には、こちらの記事も参考にしてみてください!
まとめ
いかがでしたか?
こうしてまとめてみると、独学する場合でも、本や教材を買ったり検定試験を受けたりと、何かとお金がかかりそうですね。
繰り返しになりますが、個人的には独学よりもスクールがオススメです。
その方が挫折しにくいし、確実に翻訳者になりやすいからです
業界最安値のサンフレアさんの場合、2.5ヵ月の通学で費用は7万円ちょっとしかかかりません。
独学する場合でも、おそらく教材や検定費用でこの半額は軽くかかってしまうと思うので、独学が特別安いかというと、決してそんなこともありません。
この記事では独学のメリットやデメリットを詳しく解説しました。
費用とメリット・デメリットをよく検討して、自分にとって一番確実に翻訳者になれる道を選んでくださいね!
スクールについても知りたい!という方は、ぜひ以下の記事を合わせて読んでみてください。
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