日本語力って聞いたことありますか?
実は、翻訳者になるには英語力だけではなく、日本語力も重要だといわれています。
これがあると、ワンランク上の翻訳者としてライバルに差をつけられること間違いなし!
でも、どうやって身につけたらいいの?
そんなあなたのために、この記事では翻訳者にとって欠かせない「日本語力」と、その身に付け方について解説します!
そもそも日本語力って?
そもそも日本語力ってなんでしょう?
翻訳の世界では、日本語力は主に
シチュエーションに応じて、分かりやすく読みやすい文章を書く表現力
だと考えられています。
特に和訳を手がける翻訳者には必須のスキルです。
日本語力がないと、いくら英語読解能力が高くても、レベルの低い訳文しか作ることができません。
品質の高い翻訳をしたいなら、日本語力は不可欠です!
日本語力が重要な理由
ではなぜ、日本語力がそれほど重要なのでしょうか。
主な理由は次の3つです。
- 読者は日本語しか読んでいない
- 気が散る!
- 分かりにくく話が頭に入ってこない
1つずつ見ていきましょう!
読者は日本語しか読んでいない
翻訳者は原文を読んでいるので、自分が書いた訳文が多少読みにくくても、当然内容は理解できますよね?
でも読者はどうでしょう?
できあがった訳文が分かりにくいとき、読者は内容を理解できるでしょうか?
答えはおそらくNOです
読者は訳文だけしか読みません。
なので訳文が分かりづらいと、内容を理解することができません。
読者にもちゃんと原文の内容を伝えたいのであれば、翻訳者が読み取った原文の内容がきちんと読者に伝わるような訳文を書かなければなりません。
でも、翻訳者に日本語力がないと、「訳文だけを読んで内容がすんなり分かる」訳文を書くことはできません。
翻訳者に日本語力が必要な最大の理由は、「訳文だけを読んで内容が分かる文章を書くには日本語力が欠かせないから」です。
気が散る!
日本語力の高い人が書いた文章というのは、読者を引きつけます。
知らず知らずのうちに読者を文章の中に引き込んでしまうので、読者も内容に集中することができます。
一方で、日本語力の低い人の書いた文章の場合、読者は集中力がもちません。
ところどころに読者が気を取られる表現があったり、1回では理解できず文章を行ったり来たりするので、そのうち読者が疲れてしまうのです。
これではいい文章、いい翻訳とは言えません
お金をもらって翻訳をしている以上、翻訳者は読者がストレスなく読める訳文を書かなければなりません。
そして、これには日本語力が不可欠です。
分かりにくく話が頭に入ってこない
「訳語調」という言葉がありますね。
いかにも翻訳調で、原文が透けてみえるような文章のことをこういいます
訳語調の文章は、もともと日本語でかかれた文章と違い、日本人のアタマにすっと入ってきません。
このため、一度読んだだけでは理解できないこともよくあります。
また、日本語力が低い翻訳者が書いた訳文は、一文一文はよくても前後の論理展開につながりがなく、ぶちぶちと切れたような文章になっていることがあります。
結果として、文章全体がスムーズに流れていないので、読者は作者の論理展開を追うのにとても苦労します。
このような文章は読者が理解しづらいので、商品価値の高い翻訳とはいえません。
商品価値の高い翻訳とは、
- もともと日本語で書かれているかのように違和感のない文章
- 論理展開をカンタンに追うことのできる文章
であり、このような文章を書くには日本語力が欠かせません。
日本語力を上げる4つの方法
日本語力がなぜ大切か、分かっていただけましたか?
日本語力が大切なのは分かったけど、どうやって身につけていけばいいの?
普段耳慣れない言葉なだけに、どうやって身につければいいのか分かりませんよね?
日本語力を身につけるのは、実はそれほどむずかしいことではありません。
大切なのは毎日の心がけ、毎日の習慣です!
ここでは日本語力を身につけるために毎日カンタンに取り入れられるスキルアップ法4つをご紹介します。
気になるものから順に実践してみてくださいね!
本で勉強する
まずは「日本語力とはどんなものか、どんなことに気をつけて文章を書けばいいのかということを知る」ところから始めましょう!
日本人であれば、小学校から「国語」の教科で日本語について勉強してきています。
でも「わかりやすい文章の書き方」について、実はほとんど学んでいない、学んだのかもしれないけど何も覚えていない、そんな方は多いのではないでしょうか?
実はわたしもそうでした
「どうやって日本語を書くか」なんて、普段ほとんど意識しないですよね。
でも、分かりやすい日本語を書くにはちゃんと「ルール」があるんです。
まずはこの基礎的なルールを知るだけで、あなたの文章は大きく変わります!
ここでは日本語の基本的な書き方について学べる本を2冊紹介します。
これまで日本語の書き方を意識したことがない
そんな方は、まずはここから始めてくださいね!
日本語の作文技術
わたしがスクールに通っている頃、先生に薦められて読んだ本です。
日本語の書き方がとてもよく分かって目からウロコ!でした
駆け出し翻訳者の方には特にオススメします。
初版は1976年で、もう30年以上売れ続けているロングセラー本!
とても古い本ですが、内容は今にも通じることが多く、とても役に立ちます。
アマゾンレビューでは低評価も多いですが、わたし個人としてはイチオシです!
新しい文章力の教
こちらは2015年出版の、比較的新しい本です。
翻訳向けというよりは、WEBなんかで文章を書いている人向けに書かれています
が、文章の書き方について解説している部分には翻訳に共通する部分も多く、とても参考になります。
「日本語の作文技術」よりはライトな内容なので、「まずはさらっと勉強したい」という人に向いています。
小説を読む
日本語力を上げるオススメの方法2つ目は、「小説を読む」ことです。
読むものはなんでも構いません。
それこそお気に入りの児童書でもいいですし、最近はやりの小説でもOKです。
ポイントは、「日本人が最初から日本語で書いた」本を読むということです!
いい日本語には特有のリズムがあり、流れがあります。
いい日本語をたくさん読むことで、自然と日本語特有のリズムや流れが身について、自分が訳文を書くときにもそのリズム・流れが活きてきます。
その上で、もし日頃生活する上で「変な」文章に出会ったら、どこがおかしいかを考えてみるのもオススメです。
他の人の文章を批判的に見るクセがつき、チェック業務などにも役立ちますよ!
文章を書いてみる
余裕があれば、翻訳とははなれたところで文章を書いてみることもオススメです。
誰かに見せる必要はないですが、それだとちょっと寂しいのであれば、何かブログを書いてみるのもいいでしょう。
今は無料ですぐにブログを始められるサービスがたくさんあります。無料でブログを始められるサービス
「書く」だけが目的であれば、特にテーマを決めず、日頃感じたことや考えていることを書けばOKです!
原文のないところからいきなり日本語を書くと、訳文に引っ張られることなく文章を書くことができます。
「分かりやすく」「読みやすい」文章とはどのようなものかを考えながら書くと、自然と日本語表現力が上がり、訳語調の変な文章を書くことも減ります。
訳文をレベルアップしたい方は、ぜひ一度挑戦してみてくださいね!
音読をする
最後はコレ!
音読です。
いい日本語の文章を読むと、ただ黙読するよりもはるかに「いい文章」に対する感受性があがります。
小学校でも「音読」の宿題がたくさん出されますよね?
子どもになぜ音読をさせるのかについてはいろいろな意見がありますが、わたしは子どもに「日本語のリズム」を身につけさせるためだと考えています。
子どもが宿題で読む文章は、いい文章ばかりです。
いい文章は聞いているだけでも日本語の美しさや内容の面白さに引きつけられますし、句読点に気をつけて読んでみると、上手な句読点の使い方が無意識のうちに身につきます。
大人が音読する場合でも、子どもに読んであげるような昔ながらの名作を読んでみることをオススメします。
もちろん自分の好きな本でもいいですが、昔ながらの名作は日本語表現やリズムが美しく、読んでいるだけで言葉への感受性があがります。
小さなお子さんがいる方は、お子さんへの読み聞かせが断然オススメ!
実はわたしも子どもへの読み聞かせを通じて、自分の日本語力を鍛えています。
子どもにも喜ばれるし自分のスキルも上がるし、一石二鳥ですよ!
子どもへの読み聞かせにおすすめの本
まとめ
今回は翻訳者に必須の日本語力についてお話ししました。
翻訳の勉強をするというと、誰でもつい英語力にばかり目がいきがちです。
でも、質の高い訳文を書くのに大切なのは、実は日本語力なんです!
最近は誰でも簡単に情報発信ができることもあり、素人が書いたあまり上手ではない文章を目にする機会が増えました。
そんな時代だからこそ、
- 正しい日本語とは何か
- 分かりやすい日本語はどうやって書くのか
こういったことに日頃から気をつけてほしいと思います。
そして、ワンランク上の翻訳者を目指すのであれば、ここにあげた4つの方法をなるべくたくさん取り入れて、質の高い訳文を作成してほしい、少なくともその意識を持ってほしいと思っています。
分かりやすく読みやすい日本語を書く力は、翻訳に限らず社会で広く役に立ちます!
高い日本語力はどんな仕事でも必ず役に立つので、ぜひ面倒がらずに取り組んでみてくださいね!
コメント