ほかの職業もそうですが、翻訳者にも向き・不向きがあります。
向いている人が翻訳を始めたらぐんぐん成長していきますが、向いていない場合にはいくら頑張っても芽が出ない・・・なんてこともあり得ます!
じゃぁ、どんな人が翻訳に向いているの?
ここではそんな疑問にお答えするために、翻訳者に向いている人・向いていない人の特徴をお伝えしていきます。
あなたはいくつ当てはまるでしょうか?
翻訳者に向いているのはどんな人?
まずは、翻訳者に向いている人の特徴から解説します!
翻訳者と言っても働き方はいろいろ。
当然働き方によって必要な能力は違ってきます。
ここでは、翻訳者の中でも最も人数の多いフリーランス(在宅)翻訳者に絞って、どんな人がフリーランス翻訳者に向いているのか、その適性についてお話しします!
自己管理能力が高い人
当たり前ですが、フリーランス翻訳者は「1人で」仕事をしています。
仕事を監督する上司もいなければ、独身であれば家族の目がないこともあるでしょう。
サボっていても昼寝をしてても誰にも何も言われない、それがフリーランスです!
でも、仕事には納期があります。
フリーランス翻訳者であれば、小さな案件がいくつも重なることもあるでしょう。
サボっていれば「納期に間に合わない!」なんてことになりかねませんし、複数の案件が重なったときには、それをちゃんと納品できるようしっかり予定を組まなければなりません。
フリーランスの立場にあぐらをかいてサボってばっかりいたり、スケジュール管理がずさんだと、全く収入が入ってこない、依頼がどんどん減っていく、なんてことになってしまいます。
フリーランスとしてやっていくなら、「誘惑の多い」環境でも、自分を律してちゃんと仕事ができる自己管理能力が不可欠です!
向上心がある人
フリーランス翻訳者は、競争の厳しい仕事です。
業界には次から次へと、「若くて安い」翻訳者が参入してきます
フリーランス翻訳者になれたからといってその地位に安住していたら、あっという間に後から来た新人に仕事を取られてしまいます。
翻訳者として仕事を続けていきたいなら、「若さ」や「安さ」に勝ち続けられるスキルを身につける必要があります。
誰に言われなくても、自分で黙々とスキルアップを続けられる。
この向上心なくしては、翻訳者を続けることはむずかしいでしょう。
謙虚な人
これまで積み上げてきた経験や知識に自信を持つのは素晴らしいことです。
ただ、中には「自分の知識や経験」に絶対的な自信を持つあまり、ほかの可能性を考えたり、ほかの人の意見に耳を貸さない人もいます。
翻訳というのは「答えのない世界」です
1つの原文に対して幾通りもの訳文が考えられますし、そのどれも間違ってはいない、なんてこともよくあります。
日々移り変わる世界や技術の進歩によって、これまでは「当たり前」だった訳語に新しい訳語が出てきている場合もあるかもしれません。
自分の知識に自信を持つのはいいですが、常に「それって本当かな?」と疑ったり、いちいちきちんと調べてみる姿勢がないと、新しい知識の吸収が遅れたり、新しいスキルが身につかないなんてことになってしまいます!
また、自分の意見を曲げない人、融通の利かない人は、「付き合いにくい人」として翻訳会社から敬遠されることもあります。
自分の知識やスキルに過剰に自信を持ちすぎず、謙虚に新しい情報や他の人の意見を求める。
これも翻訳者には必要な資質です。
1人でも気にならない人
翻訳者は基本的に孤独です。
フリーランスであれば1人で仕事をしている人が多いでしょうし、機密情報保持の関係から、案件について他の人とおおっぴらに話したり相談したりすることもできません。
案件が忙しいときは、数日にわたって自宅で1人で作業・・・なんてこともよくあります
かく言うわたしも、忙しいときは2週間くらい「家族以外の人と口をきいてない!」なんてことがあります。
今であればツイッターやフェイスブックなどのSNSでゆるくほかの翻訳者とつながることはできますが、オフラインで同業者と会うことはめったになく、わたしもリアルでの翻訳者友達はほとんどいません。
なので、1人で疑問を解決しながら黙々と仕事ができる人や、長時間孤独な作業が続いても耐えられる人、仕事仲間がいなくても平気な人でないと、翻訳はむずかしいでしょう。
細かい部分にまで気がつく人
翻訳は、正確さが求められる仕事です。
特に、特許や技術関係であればちょっとした数値のミスが、契約書であればちょっとした文言や句読点の位置が、あとで大問題になってしまう可能性があります。
ですので、翻訳者には誤字や脱字はもちろん、数値や客先指定の用語にまで細かく気を配れる細やかさが必要です。
また、これはよくあることですが、原文を読んでいるとどうにも論理展開につじつまが合わない部分があることがあります。
こういうときは、原文の方が間違っている可能性があります!
思考停止でただ訳すのではなく、こういう「気になる部分」についてはきちんとコメントなどで翻訳会社に申し送りをする。
こういう配慮があると、翻訳者としての評価が上がります!
日本語能力の高い人
翻訳者は英語さえできればよいと思われがちですが、そんなことはありません。
翻訳者として高く評価されたいのなら、日本語力は不可欠です!
最近は機械翻訳の影響か、非常に読みづらい訳文を書く翻訳者が増えています。
翻訳した文章を読む人は、当然翻訳後の文章だけを読みます。
翻訳した文章が読みづらく頭に入ってこないものだとすると、それは価値の低い翻訳だと言わざるをえません。
いい翻訳とは、最初から日本語で書かれたような違和感のない文章。
論理展開がすっと入ってくる文章です。
こういった翻訳をするためには、高い日本語能力が必要です。
もともと日本語に対する感性の低い人や、翻訳だからといって読みにくい日本語を書いていても全く気にならない人は、翻訳者に向いているとは言えません。
こんな人は翻訳者に向いてない!
ここまで、翻訳者に向いている人の適性について説明してきました。
それでは、翻訳者に向いていないのはどんな人でしょうか?
ここでは、翻訳者に向いていない人の特徴5つを順番に解説していきます!
指示待ち族
翻訳者は1人で仕事を進めていかなければなりません。
翻訳の仕事は、実は「翻訳」だけではありません!
翻訳作業や進捗管理はもちろん、翻訳会社への連絡や請求書の作成・送付、そして確定申告のための記帳など、思ったよりも幅広い業務があるのです。
そして、翻訳者はこれをすべて1人でこなす必要があります。
会社では上司が指示をしてくれたり、同僚がフォローしてくれたりしますよね?
でもフリーランスには、そんなやさしい上司も同僚もいません。
なので自分で考えて動けない人は、遅かれ早かれ業務に支障が出たり、翻訳会社に迷惑をかけたりしてしまいます。
指示してもらえないと何をすべきかわからない人は、翻訳者には向いていないと言えるでしょう。
努力が嫌い
翻訳者は「なっておしまい」ではありません。
長年に渡って依頼の途切れない翻訳者になるためには、継続的なスキルアップが必要です。
実際、プロの翻訳者はめちゃくちゃ勉強しています。
定期的にセミナーに参加して新しいスキルや知識を身につけたり、他の翻訳者と情報交換をしたり、よさそうな書籍が出たら買ってみたり。
わたしももちろん忙しい仕事や育児の合間をぬって、セミナーに参加したり情報収集したりしています!
翻訳業界には、日々「安くて若い」新しい翻訳者が参入してきています。
スキルアップしないと、あっという間に新規参入者に仕事を奪われてしまいます!
努力が嫌いだと、そもそも翻訳者にはなれないでしょうし、なってもすぐに淘汰されてしまいます。
「どうしても努力が苦手」なのであれば、安定した他の仕事につくことをオススメします!
自分勝手/独りよがり
翻訳はクリエイティブな仕事ではありますが、その中にも一定のルールが存在します。
特に実務翻訳の場合は、クライアントが指定している用語があったり、日本語表記のルール(スタイルガイドといいます)があったりする場合があります。
翻訳をする上ではこのようなルールを守ることが必須なので、ルールを無視する人、自分勝手に訳す人は翻訳者には向いていません。
ルールを無視するなんてそんなことある?
そう思うかも知れません。
が、実際あるんです!
ただ、実際には「ルールを無視している」というよりも、「ルールに気づいていない」場合の方が多いのかもしれません。
案件を受注する場合には、「スタイルガイドやルールがないか」を都度チェックする細やかさも必要です。
また、翻訳の先には必ず読み手がいます。
訳文は、「あなたさえわかればよい」ものではなくて、「それを読んだ人が理解できる」「それを読んだ人の役に立つ」必要があります。
この点を理解しないまま、相手の立場を考えずに書かれた訳文は、相手にとって価値の低い翻訳になってしまいます。
翻訳という作業や、それぞれの案件の依頼背景・使われ方を理解して翻訳ができない人は、翻訳者には向いていないと言えるでしょう。
言葉に鈍感
いい訳文を作るには、言葉に対する感受性が大切です。
原文を読む際には「なぜAという単語ではなくBという単語が使われているのか」を考えたり、訳文を作るときには「もっといい表現、わかりやすい表現はないか」を考えたりする必要があり、こういった作業の一つ一つが翻訳の質を高めていきます。
逆に言うと、こういうった細かな気遣いができない人は、商品価値の高い翻訳、読者の立場に立った翻訳ができないため、翻訳者としての適性が低いといえます。
責任感がない
出来上がった訳文を納品すると、チェッカーと呼ばれる人が訳文を一通りチェックします。
ただ、チェッカーは明らかな誤訳がないか、数値などのミスがないかを見る程度ですので、訳文を大きく変えるようなことはありません。
つまり、提出された訳文は、ほとんどそのまま依頼者に納品されてしまいます!
また、翻訳者が決められた納期を守らないと、翻訳会社でその後の工程が遅れたり、依頼者への納品が遅れてビジネスに影響が出たりと、たくさんの人に迷惑をかけてしまいます。
ですので、翻訳者には自分の訳文や仕事に対する責任感が必要です。
会社のように「誰かがやってくれる」「誰かが守ってくれる」なんてことは決してありません!
このような覚悟が持てない人は翻訳者としてやっていくのはむずかしいので、翻訳者には向いていません。
まとめ
いかがでしたか?
あなたは「翻訳者に向いている人の特徴」「翻訳者に向いていない人の特徴」にいくつ当てはまったでしょうか?
「翻訳者に向いていない人の特徴」すべてに当てはまるのであれば、翻訳者を目指すのはちょっとやめたほうがいいかもしれません。
でも、「翻訳者に向いていない人の特徴」1つや2つに当てはまるくらいでは、諦める必要はありません!
もし当てはまると思う項目があれば、今から改善していけばいいのです。
人間、やる気さえあれば、いつからでも変わることはできます。
少なくとも私はそう信じています!
もちろん適性が高い人が有利であることは間違いありません。
でも、「翻訳が好き」「翻訳がしたい」という気持ちさえあれば、適正の1つや2つは今後いくらでも身につけていくことができます!
他の記事でも書いたように、翻訳は多少年齢が高くても挑戦することができます。
今足りないことは、勉強を進めていく中でじっくり身につけていけばいいのです!
やりたいという気持ちさえあるのなら、ぜひ自分を信じて一歩踏み出してみてくださいね!
あなたの挑戦、待ってます!
コメント