翻訳者って、どんな生活を送っていると思いますか?
日々優雅に仕事をしてそう?
それとも毎日仕事に追われてそう?
身近に翻訳者がいないと、翻訳者の生活をリアルに知る機会はなかなかありませんよね。
でも、いざ翻訳者になってから「こんなはずじゃなかった・・・・」とならないために、翻訳者の生活をきちんと理解しておくことは大切です。
この記事では、翻訳者生活を7年以上に渡って送るプロ翻訳者が、翻訳者の生活を大公開します!
この記事を読めば、翻訳者の生活やスケジュールについて、ある程度具体的なイメージが持てるようになるよ!
翻訳者の生活を正しく理解して、お仕事を始めてからのミスマッチをなくしましょう!
翻訳者の一日のスケジュールは?
まずは、私の一日のスケジュールをご紹介します。
私は朝型なので、朝は早起き!
起きたら30分ほどメールチェックやメールの返信などをします。
子どもを起こして、家事や育児をします
子どもが3人いるので、家事を済ませてようやく仕事を始められるのがこの時間。
午前中は比較的頭がすっきりしているので、訳文の見直しなど集中力の必要な作業を優先します。
仕事に余裕があるときは、1時間ほど休憩。近所に買い物に行くことも。
仕事が切羽詰まっているときは、手早く昼ご飯だけ済ませます。
午後の業務。
子どもが帰ってくるので相手をしたり宿題を見たりします。
習い事の送迎をすることもあります。
仕事が押しているときは再び仕事をします
ないときはスキルアップのための勉強をします
仕事が入っているときは、9時〜12時、13時〜16時の一日6時間程度仕事をします。
仕事が押しているときは、夜もさらに2時間程度仕事をすることがありますが、この場合でも一日の仕事時間は最大8時間です。
思ったより少ないかも・・・
確かに時間だけ見ると、一般的な会社員より働く時間は短いと思います。
ただ、翻訳は頭脳を酷使する仕事です。
仕事中は脳みそにめちゃくちゃ汗をかいています。
なので長時間集中することはとても難しいし、私の場合は一日6時間ぐらいが集中して仕事ができる限界だと感じています。
それに育児もあるから、これ以上仕事に時間を割くのは正直厳しい・・・
翻訳者の中には一日10時間以上仕事をしている方もいらっしゃいますが、私の場合一日の仕事時間が8時間を超えると翻訳の質が落ちると感じています。
翻訳者は毎日どのくらい仕事をしているの?
上に載せたスケジュールはあくまで私の例なので、より多くの翻訳者を対象にした調査結果を見てみましょう。
以下は通訳翻訳ジャーナル(2016年夏号)に掲載されていた情報です。
データによると、全体の平均は6.5〜7.5時間。
わたしよりもやや多いんだね!
ボリュームゾーンは6〜9時間でした。
ただ、中には10時間以上作業している方もいらっしゃいます。
翻訳は手間仕事ですので、働けば働くほど収入が上がります。
収入を手っ取り早く増やしたいなら、単純に仕事量を増やせばいいのです。
しかし、長時間働くと集中力が低下してしまい、翻訳の質が下がってしまいます。
誤訳や訳抜けの頻度も増えてしまうでしょう。
質の低い翻訳を納品し続けると、翻訳会社の方で「レベルの低い翻訳者」と見なされてしまい、依頼が来なくなってしまうおそれがあります
そうなってしまうと本末転倒です。
また、実務ばかりに時間を費やしてしまうと、勉強やスキルアップの時間が取れなくなってしまいます。
質の高い翻訳を提供し続けるために翻訳者には勉強は欠かせませんが、アウトプットばかりでインプットを怠ると、長期的に見てスキルが低下してしまいます。
翻訳は自由な仕事なので、毎日どのくらい働くかはあなた次第です。
ただ、収入を増やすことだけを考えて仕事を増やしすぎると、翻訳者にとって最も大切な質やスキルを犠牲にしてしまう可能性があるので、インプットとアウトプットのバランスについては十分に考える必要があるります。
- 翻訳者の作業時間は、1日平均6.5〜7.5時間。
- とはいえ、仕事を増やしすぎると質が低下するおそれがあるので注意。
休みはちゃんと取れる?
翻訳者に決まった休みはありません。
いつ休むか、どのくらい休むかは、完全に自分で決められます。
収入を上げたいなら休みを取らずに働くこともできるし、逆にそれほど収入がなくてもいいというのであれば、週に数日だけ働くこともできるよ!
ただ、翻訳者にとって悩ましいのは、必ずしも自分の裁量だけでは仕事の量を決められないということです。
自分で休みが決められるのに、仕事の量を決められないってどういうこと?
それはつまりこういうことです。
翻訳者は会社員ではないので、仕事をするかしないかは、翻訳会社さんから依頼が来るか来ないかに左右されます。
例えば、今日は仕事をする日だと決めていても、翻訳会社さんから依頼が来なければ、その日は休みになってしまいます。
逆に、今日は休もうと思っていても、翻訳会社さんから急な依頼が入り、断り切れなければ仕事をする羽目になります。
つまり、翻訳会社と翻訳者のマッチングがうまくいかなければ、働きたいのに仕事がなくて休みばかりになってしまうことや、休みたいのに依頼を断り切れなくて働きづめになってしまうということが起こってしまいます。
だから、思った通りに休めるはずなのに、案外思ったようには休めなかったりするんだね・・・
ただ、仕事が続くとどうしても疲れがたまって質が低下してしまうので、決まった休みのない翻訳者だからこそ、疲れがたまってきていると感じたら、勇気を持って休みを取ることも必要です。
私の経験では、引き受けられない理由をきちんと書き添えたり、いつなら予定が空いているのかを伝えたりと丁寧な対応を心がければ、1〜2回依頼を断っただけで仕事が来なくなることはありません。
ちなみに、翻訳者の毎月の稼働日数を見ると、平均17.8〜22.1日となっています。
大体みんな週に2日程度は休んでるんだね!
私自身はというと、子どもがいるので基本的に土日はお休みにしています。
ただ、仕事が押しているときは、土日の朝(5時〜7時)や晩(20時〜22時)に作業をすることもあります。
私のように家族がいる場合は週末に休みを取ることが多いと思いますが、そうではない方は土日を避けて平日にお休みを取ることもできます。
平日に休みを取ると、どこに行っても空いてるから時間を有効に使えるね!
余談ですが、意外と土日は翻訳の需要があります。
金曜日の午後に問合せが来て、月曜の朝イチで納品してくださいということは割とよくあります。
私の場合、週末はまとまった時間が取れないのでこういった問合せは基本お断りしています。
でも、土日休む必要のない方は、このような案件を積極的に引き受けると、ライバルが少なくてオススメですよ!
- 翻訳者に決まった休みはない。
- だからといって働き過ぎると翻訳の質が低下するので、勇気を持って休むことも必要。
家庭と両立できる?
お子さんのいる方であれば、家庭との両立が気になるのではないでしょうか?
翻訳者は、比較的家庭との両立がしやすい仕事ではないかと思います。
その理由は以下の通りです。
- 自分で働く時間を決めることができる
- 自分で休みを設定できる
- 平日に子ども関係の予定があっても気兼ねなく休める上、数時間だけ作業を離れることもできる
- 自宅でできるので、子どもの急な休みなどにも対応しやすい
特に子どもが大きくなり、こちらが相手をしなくても家で過ごせるようになると、コロナで急に学校が休みになったり、急な体調不良で学校を休んだりしても、子どもを適度に見守りつつ仕事を進めることができます。
外で働いていると、子どもが学校を休むとこちらも急遽休まなければならなくなり、やっぱり気兼ねしますよね
翻訳なら(というか自宅でできる仕事なら)、子どもの急な休みにも柔軟に対応できて非常に好都合です。
また、仕事を休んだり抜ける際にも誰にも遠慮がいらないのは大きなメリットです。
子どもが小学校に入ると、PTAやら参観やらで、何かと平日に学校に行く機会が増えてきます。
そんな時にも、誰にもお伺いを立てることなく休めるのは非常に助かります。
一方で、以下のようなデメリットもあります。
- 誰も代わりに仕事をやってくれない
- 納期は待ってくれない
例えば子どもが小さい頃は、急に具合が悪くなって何日も保育園を休むことがあります。
こんなとき、会社勤めだと、気兼ねはするけど仕事は誰かが代わりにやってくれますよね。
休み明けに仕事がたまっていることはありますが、子どもが体調を崩している間は子どもの看病に集中することができます。
しかし、在宅翻訳の場合はそうはいきません・・・
子どもが体調を崩そうが、その影響で自分も具合が悪かろうが、納期は守らないといけません。
翻訳の仕事をする上で、納期を守るのは最低限守るべきマナーです。
何の連絡もなく納期を踏み倒した場合、二度と仕事が来なくなる可能性があります(というか多分来ません)。
きちんと連絡を入れて納期の変更や仕事のキャンセルをお願いしたとしても、それが続くとやはり依頼は減るでしょう。
なので、仕事が入っているのに子どもが体調を崩した場合、子どもの看病をしながら仕事もしないといけません
小さい子どもの場合は1人で遊ぶことは難しいでしょうから、日中は子どもの面倒を見て、子どもが寝ている朝や夜に仕事を進めることになります。
私も子どもが小さい頃は、日中機嫌の悪い子どもの面倒を見てくたくたなのに、夜は夜で仕事をするということがよくありました。
さすがにこちらも限界になってきたときは、病児保育を利用していました
子どもが病気なのに預けるのはかわいそうという声をよく聞きますが、こちらも仕事があるので背に腹は代えられません。
今はさすがに子どもも大きくなり、体調を崩しても1人で寝ていられるので随分楽になりました。
子どもが小さいうちは、突発的な出来事が起こった時に備えて、対策を十分に考えておく必要があります。
- 翻訳は家庭との両立がしやすい仕事
- ただ、子どもの突発的な病気などへの十分な備えが必要
好きなペースで働けるって本当?
ここまで読んできて下さった方は、もう答えが分かりますよね。
答えはイエスです!
翻訳は、自分で仕事の量や休みを自由に設定することができます。
とはいえ、あくまで依頼ベースで働く仕事なので、思ったように依頼が来なかったり、逆に依頼がたくさん来すぎて、自分の思惑とは関係なく休んだり働いたりすることも出てきます。
依頼が少ないときには営業活動をして、また依頼が多すぎる場合には断る基準と勇気を持って、ワークライフバランスと翻訳の質を維持できるように工夫する必要があります。
- 翻訳は、個々人が自由なペースで働ける仕事
- ただ、自分でワークライフバランスを保つ工夫が必要
まとめ
今回は、翻訳者の仕事のスケジュールについてお伝えしました。
ポイントをまとめると以下の通りです。
- 翻訳者の作業時間は、1日平均6.5〜7.5時間
- 仕事を増やしすぎると質が低下するおそれがある
- 翻訳者に決まった休みはない
- 翻訳は家庭との両立がしやすい仕事だが、子どもの突発的な病気などへの十分な備えが必要
- 翻訳は、個々人が自由なペースで働ける仕事
翻訳は手間仕事なので、働けば働くだけ収入は増えますが、質のいい翻訳をしないと結果的には仕事は減ってしまいます。
休みの決まっていない仕事だからこそ、仕事と休みのバランスを上手にとって、翻訳の質を上げる工夫が必要ですね!
ちなみに今回の話は、あくまで「フリーランス翻訳者として働いた場合」のものです
翻訳者として働く方法には、他にも「正社員として働く」「派遣で働く」方法があります。
それぞれにメリット・デメリットがあるので、興味のある方はぜひ下の記事も合わせて読んでみてくださいね!
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